【為替リスクに要注意!?】為替レートを考慮した場合の本当の投資リターン早読み表
投資信託やETFを利用して、米国株式をはじめ、世界各国に投資することが可能になりました。
米国株式ETFを購入するときは、米ドルに両替した後に購入するため、為替リスクを負うことになります。
日本の投信信託(eMAXIS Slim 全世界株式など)や東証ETFなどから円建てで海外株式を購入した場合も、為替リスクを負うことになります。
あまり実感がないかも知れませんが、為替リスクは投資リターンに無視できない影響を与えます。
この記事では、どれくらい為替リスクが投資リターンに影響を与えるのか、またそのリスクを軽減する方はあるのか?を実例を示しながら解説します。
・為替リスクは、ハイリスク!
・リスクの軽減には、「通貨の分散」と「時間の分散」が有効。
最後までご覧いただき、資産運用のヒントにしていただければ幸いです。
円換算した場合の真の投資リターン早読み表
国内で販売されている全世界を投資対象とする投資信託は、日本円で購入します。
しかし、投資家から集めた日本円を、例えば米国株式市場へ投資する場合は、日本円を米国ドルに両替してから、米国株式市場で株式を購入します。
その場合には、株式市場の変動リスクだけでなく、個人投資家は外国為替リスクも負うことになります。
例えば、「米国株式市場が値下がり」&「円-ドル為替レートが円高」になった場合は、日本の投資家はダブルパンチで損することになります。
「株式市場の変動リスク」と「外国為替変動リスク」の両方を考慮した、真の投資リターンをまとめると次のようになります。
仮に1年間の株式リターンが+10%の場合であっても、その間に円-ドル相場が▲10%以上(円高)に推移するだけで、真の投資リターンはマイナス(▲1.0%)になることが分かります。
為替リスクは侮れませんね。
(円-ドル)過去にどれぐらいの変化率があったのか?
(表2)2000年から2020年までの、円-ドル為替レートの推移を示しています。
一番の右側の「変動率」を見てください。
過去20年間の平均変動率は、±14.36%です。
おおよそ、円-ドルの為替レートの変動率は、年間±15%程度は動くと見込んでおくべきですね。
【円-ドルの為替レートの変動率】
20年間の平均値:約±14%
→最大~最小の変動率の幅:約±7% ~ 約±22%
円-ドル相場一つで、投資リターンは大きく変わる!!
1ドル=110円として、変動率±15%はどれくらい動く?
例えば、1ドル=110円の時、(表3)のように±15%の変動率があった場合、為替相場は1ドル=93.5円~126.5円の幅で動くことを意味します。
(表1)を参考にすると、「円安(+15%)になれば、仮に米国株式で▲10%の損失を受けても、トータルのリターンは、+4%」になります。
もちろん、反対に「円高(▲15%)かつ、米国株式で▲10%の損失を受けると、トータルリターンは▲24%」と、ダブルパンチを食らうことになります。
株式相場も為替相場も、コントロールできないハイリスクの塊です。
では、この為替リスクをどのように軽減できるでしょうか?
キーワードは、「通貨の分散」と「時間の分散」です。
為替リスクの低減方法は?
その1「通貨の分散」
為替リスクは、各国通貨と1対1対応しており、「どちらかが下がれば・どちらかは上がる」関係です。
そのため、日本円と米国ドルどちらも、「両方安くなる・両方高くなる」ことはありません。
そのため、日本に住み・日本円で生活する多くの日本人にとっては、「日本円:米国ドル」を半々ずつ保有すること(→通貨の分散)をすることで、資産全体としてトータルで為替リスクを相殺することが可能となります。
投資対象や資産を、米ドル建てだけでなく、円建て資産も保有しよう!ということです。
その2「時間の分散」
(表2)過去20年間の変動率を見てきたとおり、円-ドル為替は約±15%の幅で、円高・円安を繰り返しています。
このような一定の幅で、上下する投資対象には「時間の分散」を利用することで、長期的に為替リスクによる損益を相殺する効果を得られます。
具体的な方法は、つみたてNISAやiDeCoで投資信託を毎月買うような「ドルコスト平均法」による、積立投資です。
もちろん、一時的には円高のため含み損が発生するかもしれませんが、一方、円高の時にはたくさん海外通貨を購入できます。
この考え方は、資産活用する場合も使えます。
毎月少しずつ資産を取り崩すときも、「時間の分散」を利用することで、長期的に為替リスクによる損益を相殺することができます。
ドルコスト平均法は、為替リスクそのものを低減する効果はありませんよ!
疑問:「為替ヘッジあり」の投資信託やETFはどうなの?
金融商品の中には、為替ヘッジありの商品も存在しています。
これは「円高に時の評価額のダウンを和らげる効果」があるものの、反対に「円安の時の評価額のアップを抑制する効果」も併せ持ちます。(値動き幅が、ヘッジ無しよりも少なくなる。)
さらに「為替ヘッジ」のために、追加コストを支払う必要があります。(ヘッジ無しよりも保有コストが高い。)
投資の目的によりますが、10年以上の長期投資を目指す場合は、上記の「通貨の分散」と「時間の分散」で、ある程度の為替リスクによる損益を相殺することができるため、個人的には不要と考えています。
もちろん、為替リスクをしっかり軽減したい人には、有効な選択肢の一つです。
目的に応じて使い分けたいですね。
まとめ
為替リスクがどのくらい投資リターンに影響を与えるのか、またそのリスクを軽減する方はあるのか?を実例を示しながら解説しました。
ポイントは次のようになります。
・為替リスクは、ハイリスク!
・リスクの軽減には、「通貨の分散」と「時間の分散」が有効。
「株式市場の変動リスク」と「外国為替変動リスク」の両方を考慮した、真の投資リターンをまとめると次のようになります。
米国株式を中心とした全世界株式投資が資産形成の主流ですが、今後も日本に住み・日本円で生活する個人投資家は、為替リスクを侮ると痛い目にあいます。
「通貨の分散」「時間の分散」をうまく利用して、長期的に為替リスクによる損益を相殺することが重要です。
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個人的には、全世界株式投資を軸として、現金は日本円保有するのが今のところベターと考えています。
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