【どちらがお好み?】投資信託 VS. 上場投資信託(ETF)8本勝負!
米モーニングスター公式サイトで、投資信託 VS. 上場投資信託(以下、ETF)「Traditional Index Fund vs. ETF Cage Match」🔗という記事が興味深かったので、紹介します。
この記事では、インデックス・ファンドにおける経費率、手数料、取引の柔軟性、課税や分配金の再投資など、8つの項目について比較しています。
米国の場合は、ETFの方が相対的に有利!
日本の場合は、ETFが有利とは限らない!
それでも、ETFが日本でも人気の理由(私の個人的な意見)
最後までご覧いただき、どちらの方が良いのか?悩んでいるあなたが、判断する手助けになれば幸いです。
米国の場合は、ETFの方が相対的に有利!
(表1)は、その結果を示しています。
ETFの5勝2敗1引き分けです。米国の場合、ETFの方が資産運用で有利という結果になりました。
各比較内容の概略は、次のとおりです。(詳細は公式サイトを確認してください。)なお、この概要は米国の税制などを反映しています。
経費率:ファンドの保有コスト(信託報酬)です。低コスト化が進み、投資信託とETFの差はほぼ同じになりました。
売買手数料:投資信託はノーロード(売買手数料無料)の商品が一般的ですが、ETFでは売買手数料がかかることも。
取引の柔軟性:投資信託は1日1回しか取引ができません。一方、株式市場が開いている時間なら売買できるのがETF。また、指値注文、貸株、信用取引などの機動的な取引ができるのもETFです。
主要指数への投資:CRSP US トータル・マーケット指数、S&P500指数、MSCIの株式指数など、主要な指数へ投資できる商品の数が多いのはETFです。
スマートベータ型商品への投資:特定業種(セクター)や高配当株などのテーマ型など、様々なニースに対応した商品数が多いのはETFです。
分配金の再投資:ファンドから得られる分配金を再投資する際の手間を示しています。投資信託では自動的に再投資されます。
課税:ファンド内の銘柄入れ替え頻度(回転率)が低く、課税の繰り延べが効果が高いのはETFです。
少額からの投資:投資信託では、まとまった初期費用を求められることがあります。ETFでは1株から購入可能です。
あくまでも米国の話です。
当然、日本の税制等に合致していない部分があるので、そのまま鵜呑みにはできません。
では、日本の場合ETFは有利なのか、それとも不利なのか?簡単に比較していきましょう。
日本の場合は、ETFが有利とは限らない!
(表2)は、日本の場合の投資信託 VS. ETF8本勝負の結果です。
ETFの3勝4敗1引き分けです。人によっては、投資信託の方が有利になる場合もあります。
判断が変わった理由は?
日本の場合、「課税」と「少額からの投資」の2つは、投資信託の方がETFよりも有利と、私が勝手に判断しました。(あくまで私見です。)理由は、次のとおりです。
- 投資信託では、利益の内部保留に課税されないから。
- 初期費用が不要!少額(100円~)からの投資ができるから。
投資信託では、利益の内部保留に課税されないから。
ETFは、税制により決算期間中の利益(投資先からの配当金など)を、必ず分配する必要があります。一方、投資信託では決算期間中の利益については、分配金を出さない(=信託財産に留保する)内部保留が認められています。
日本の場合、その内部保留には課税されません。
そのため、投資家は投資信託を売却する時まで、課税の先送りが可能となります。
一方、米国の場合、投資信託・ETFともに決算期間中の利益を必ず分配する必要があります。内部保留が認められていない点が、大きな違いです。次の理由も米国では、ETFの方に税制面で有利に働きます。
自分が保有ETFを売却するまでキャピタルゲイン課税を繰り延べることができる(運用効率が高まる)訳で、これは従来型ファンドにはない税のメリットとして認識されています。
出典:野村アセットマネジメント「ETFはなぜ成長しているか【世界ETF事情②】」より🔗
まとめると、分配金が出ない低コストの投資信託では次のようになります。
日本の場合、投資信託では内部保留(分配金を出さないこと)が認められています。分配金が出ないので、投資家は運用中に課税されることもありません。投資信託では、最終的に売却する時まで課税が先送りされ、簡単に複利運用が実現します。
以上のように比較すると、「課税」では米国はETFが有利に、日本では投資信託が有利だと判断することができます。
もちろん、2022年の時点の話です。
税制が変われば、話も変わります。
初期費用が不要!少額(100円~)からの投資ができるから。
米国の場合、新しく投資信託を購入する場合、ある程度の拠出金(1,000ドル~)が必要となることがあるようです。日本の場合、ネット証券(SBI証券・楽天証券)を利用すれば、投資信託を100円から購入することができます。初めにまとまった金額が必要ないため、誰でも少額で投資を始められる環境が整っています。
一方、多くのETFは、日米ともに1株(1口)から購入することができます。購入金額は、1株あたり1万円~4万円程度です。証券口座を開設する際に、初期費用は必要ありません。
以上のように比較すると、「少額からの投資」では米国はETFが有利に、日本では投資信託が有利だと判断することができます。
それでも、ETFが日本でも人気の理由
(表2)のように日本の場合、ETFの3勝4敗1引き分けです。日本では、代表的な株式指数に連動する投資信託を低コストで購入できる恵まれた状況です。
人によっては、投資信託の方が有利になる場合もあります。
投資信託の方が有利になるのは、こんな人!
- 投資は、趣味でも好きでもない人
- 投資は、単なるお金の置き場と考える人
- できる限り「手間」をかけず、効率的に運用したい人
この3つの条件に当てはまる人は、低コストの投資信託を活用する方が有利になります。「投資が趣味でも好きでもなく、投資は単なるお金の置き場であって、できる限り手間を省いて、効率的に運用したい人」なら、低コストの投資信託で資産形成は完結します!
それでも、ETF(米国ETFを含む)は根強い人気があり、SNS・書籍等でも話題になります。実際、米国ETFを紹介・推奨している書籍が販売されています。
人気の理由を3つ考えてみました。
以下、私の単なる意見です。日本でもETFが人気なのは、次の3人の人たちがいることが原因なのかもしれません。
1 分配金を欲しい人たち
上記のように税法によって、ETFは決算期間中に発生した利益を必ず分配することになっています。 そのため、ETFを活用すれば、低コスト&分散投資で資産を運用しつつ、ファンドからあふれた利益(=分配金)を受け取ることができます。
もちろん、分配金を再投資する場合、課税されるため投資信託よりも効率が悪くなりますが、将来的に「分配金の拡大」を目指すならETFも選択肢に入ります。
2 株式投資が趣味または好きな人たち
ETFを活用すれば、伝統的な株式指数だけでなく、特定業種(セクター)への投資や高配当株のようなテーマ型(スマートベータ)等への投資を簡単にできます。 ETFの取引は、個別株式と同じく「貸株」「信用取引」「指値注文」など、投資信託にはない機動的な売買ができる点も特徴です。
株式投資が、趣味または好きな人たちのニーズに沿った(?)多種多様なETFが発売されています。
3 バンガード社などの米国の大手運用会社に運用を任せたい人たち
日本の運用会社ではなく、バンガード社のような超大手運用会社に直接お金を託したい人は米国ETFを通して、運用を任せることができます。
若い人なら20年~30年と、超長期でお付き合いすることになる運用会社なので、こういった考え方をする人もいるようです。
まとめ:私はどう考える?
この記事では、インデックス・ファンドにおける経費率、手数料、取引の柔軟性、課税や分配金の再投資など、8つの項目について比較しました。
この記事で紹介したこと
米国の場合は、ETFの方が相対的に有利!
日本の場合は、ETFが有利とは限らない!
それでも、ETFが日本でも人気の理由(私の個人的な意見)
- 分配金が欲しいから
- 株式投資が趣味または好きだから
- 米国の大手運用会社に運用を任せたいから
私はどう考え、どういった方法で投資している??
私自身は、株式投資が好きなので、投資信託・ETFどちらも活用する中途半端な投資スタイルです。つみたてNISAやiDeCoでは、全世界株式インデックス・ファンドに愚直に積立投資。
臨時収入などが生じれば、ETF(米国ETFも含む)や個別株式にも投資。
どっちが良い/悪いではなく、税制面等のメリット・デメリットを分かって納得したなら、好きな方に選べば良い!と思っています。
投資方法の良し悪しで議論になることは多々あります。それ自体を否定するつもりはなく、むしろ非常に勉強になることもあります。
今回は、投資信託とETFを比較しました。
どちらの方がよりあなたの投資スタイルに合致するか?を判断する手助けになったら幸いです。
では、良い資産形成を!
オススメ書籍
資産運用に必要な考え方やどんな商品を選べばよいか、よく分かる一冊です。
インデックス運用では、必読書です!
水瀬ケンイチさんと山崎元さんの共著です。こちらも資産運用必読書です。
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